2012/01/13

あなたと出会って

もう何年になるでしょうか。

初めてあなたと出会った瞬間、
一瞬にして私は全ての過去を塗りつぶし、
一瞬にしてあなたとの未来を描きました。
人生というパズルの最後の1ピースが、まさにあなたでした。
あなたによって、私が完成したのです。

あなたは私の心も身体も満たし続けてくれました。
いつ会っても、いつもと変わらぬその姿で。
その姿を見ただけで、私の心はまるで初めて満開の桜を見た時のような気持ちになっていました。儚さと、純粋な美しさを持つゆえに、見る者に矛盾した凶暴な感動を与えるあなたに心を奪われてさえいました。
略奪される心に、私はありったけの気持ちを乗せ、そしてあなたから与えられる心を何度も噛み締めたのです。

その時の私は、さんさんと降りそそぐ陽の光は、永遠に私を照らし続けるものだと思っていた。心の中の光の届かぬ場所で、いつか陽が沈む事をわかっていながら。

終焉は突如襲いかかる。

「かつ元店じまいだってよ」

嗚呼、あれほどのトンカツに出会える日は、もう、来ないだろう。